認知症のおしゃれ

母は昔からすごく洋服が好きだった。

私の中の昔の母は、いつもおしゃれな洋服を着ていた。

今でも洋服を買ってあげるとものすごく喜ぶ。

買ったことは覚えていないので、買ってあげるたびに「5年ぶりくらいに洋服を買ったから嬉しくて」などと言い、本当に5年ぶりの洋服かのように喜ぶ。

でもあまり好みでない洋服は喜ばない。

要介護2・85歳・1分前のことは忘れる認知症患者の割には好みがしっかりしていて、自分で選んでそれなりにまともな恰好をしていると思う。

でも、時々、やっぱり認知症が出ちゃって、え?そんな組み合わせする?しかもこの季節に?みたいな恰好をすることがあって、そんな母を見るととても悲しくなる。

ちなみに母は認知症になって、真っ先に不得意な料理をしなくなった。

得意なものはいつまでも残っているんだな。

私が認知症になったら何か真っ先に出来なくなって、何が最後まで残るんだろう。